第4章・第3話
子どもより先に変わるのは、大人の反応だった
不安は消えるのではなく
扱えるようになる
回復しても
不安がゼロになる
わけではありません。
でも、確実に
不安との関係は変わります。
今回は
不安に振り回されなくなる感覚を
言葉にしていきます。
*
子どもが変わり始めた。
そう感じたい気持ちは
とても自然です。
でも実際には——
最初に変わるのは
子どもではありません。
多くのケースで
一番はじめに変わっているのは
大人自身の反応です。
たとえば、こんな変化です。
・子どもの沈黙に
以前ほど焦らなくなる
・表情や態度を
「意味づけ」しすぎなくなる
・「今すぐ何かしなきゃ」が
減ってくる
・心配はあるけれど
飲み込まれなくなる
外から見れば
ほとんど何も変わっていない
ように見えるかもしれません。
でも、内側では
確かに違いが起きています。
以前の大人は
子どもの反応を見るたびに
無意識にこう受け取っていました。
「これは危険信号かもしれない」
「見逃したら取り返しがつかない」
「何か対応しなければ」
そのたびに
心と身体は緊張し
声のトーン、間の取り方、視線——
あらゆるものが
“非常事態モード”になっていました。
ところが
第2章・第3話で扱ったように
大人自身の不安が
子どもの安全センサーに届いている
という理解が入ると
大人の内側に
一つの余白が生まれます。
——あ、今、
——わたしのほうが
怖がっているかもしれない。
この気づきが入った瞬間
反応の質が変わります。
子どもが黙っているとき。
以前なら
「大丈夫?」
「何かあった?」
「話してごらん」
と、すぐに言葉を
重ねていたかもしれません。

でも今は
一呼吸置けるようになる。
言葉を足す前に
自分の胸のざわつきに
気づけるようになる。
すると
声をかけるにしても
そこに“追い立てる感”が
乗らなくなります。
ここで重要なのは、
大人が「我慢しているわけじゃない」
という点です。
無理に耐えているのではなく
反応そのものが弱まっている。
それは
・子どもが壊れないと知った
・反応には意味があると理解した
・「今すぐ何とかしなくてもいい」と
身体レベルで感じ始めた
その積み重ねの結果です。
すると
不思議なことが起きます。
子どもが
ほんの少しだけ
こちらを見るようになる。
視線が合う時間が
わずかに長くなる。
部屋にこもっていても
ドアの向こうで
気配を感じ取っているのが
伝わってくる。
これは
「良くなったサイン」というより
警戒が一段ゆるんだサインです。
多くの大人は、
ここでまた不安になります。
「これって、良い兆しなんですよね?」
「このまま進んでいいんですよね?」
でも
その問いが浮かぶ時点で
もう以前とは違っています。
以前は
「正解かどうか」しか
見えなかった。
今は
「関係の感触」を
感じ取ろうとしている。
それ自体が
大きな変化です。
回復は
一直線に進むものではありません。
良くなったと思った翌日に
また閉じることもある。
安心したように見えたあとで
急に荒れることもある。
でも
大人の反応が変わっていれば
その揺れは
「後戻り」ではなくなります。
子どもが揺れたとき
大人が一緒に
揺れ落ちなくなっている。
それだけで
関係はまったく違う場所にあります。

次回は
この変化が
「子どもの内側」で
どんな変化を生み始めるのか。
子どもに安心が入ったあと
心と行動が
どう結び直されていくのかを
扱っていきます。
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▶ この章を続けて読む
【 第4章|大人自身の解放】
https://kokoronokizu.jp/tag/第4章_大人自身の解放/*
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岩永留美|逆説人生法則



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