第3章・第4話
動き始めたように見えるとき、心の中では何が起きているか
前回までで
小さな「自分で選ぶ」が増えていく
話をしました。
回復は
目に見える成果からは
始まりません。
まず増えるのは
とても小さな「選択」です。
この回では
内側で育ち始める
「主体性」を扱います。
*
「最近、少し
元気になってきた気がします」
「外に出るようになりました」
「学校の話を、ぽつぽつ
するようになりました」
回復が進み始めると
周囲の大人から
こんな言葉を聞くことが増えてきます。
確かに
行動だけを見れば
「動き始めた」ように見えるでしょう。
けれど
ここで一つ
とても大切な視点があります。
行動の変化=回復の完成
ではありません。
むしろこの段階は
回復の中でも
いちばん“揺れやすい時期”です。
なぜなら
行動し始めるということは
心が再び
外の世界と接触し始めた
ということだからです。
それは同時に
再び傷つく可能性に
足を踏み入れることでもあります。
心の中では
こんな二つの力が
同時に働いています。
・やってみたい
・でも、まだ怖い
・外に出たい
・でも、また傷つくかも
前に進む力と
ブレーキをかける力が
同時に存在している。
これが
回復の途中で起きる
とても自然な状態です。
このとき
子どもの内側では
実は大きな変化が起きています。
それは
=============
「反応」だけで生きていない
=============
という状態です。
以前は
・怖い → 固まる
・不安 → 逃げる
・緊張 → 何もできなくなる
こうした反射的な反応が
行動のすべてを決めていました。
ところが今は
・怖い
けれど、どうするか考える
・不安
だけど、少し様子を見る
・緊張
している自分に気づく
そんな
ワンクッションの余白が
生まれています。
この余白こそが
回復が進んでいる証拠です。
ただし
外からは
この余白は見えません。
見えるのは
・行けた
・行けなかった
・できた
・できなかった
という結果だけです。
だから大人は
つい評価してしまいます。
「今日は行けたね」
「昨日はダメだったね」
「前はできていたのに…」
でも
心の中では
結果よりも、もっと
重要なことが起きているのです。

一度、外に出られたあと
数日間
また動けなくなることも
あるでしょう。
これは
よくあるケースです。
でもそれは
後退ではありません。
新しい体験を処理するために
心が休んでいる状態です。
外に出た。
人と関わった。
緊張した。
無事に戻ってきた。
この一連の体験を
心の奥で
「安全だった」と
再整理しているのです。
ここで
大人が焦ってしまうと
心は再び
守りを強めます。
「せっかく行けたのに」
「この調子で続けよう」
「また戻ってしまうよ」

こうした言葉は
応援のつもりでも
心には
プレッシャーとして届きます。
すると
「やっぱり、結果を
出さなきゃいけないんだ」
「失敗できない」
という前提が戻ってきて
行動が、再び
重くなってしまうのです。
この段階で
いちばん大切なのは
波があることを
前提にすることです。
行ける日もあれば
行けない日もある。
話せる日もあれば
黙りたい日もある。
それは
不安定なのではなく
調整中なのです。
心が
新しい生き方に
慣れようとしている途中。
動き始めたように見えるとき
子どもの心は
とても頑張っています。
同時に
とても疲れやすくもあります。
だからこそ
ここで必要なのは
「もっと頑張ろう」ではなく
「元に戻っても大丈夫」という感覚。
ここが、逆説法則なのですが
この「元に戻ってもいいんだ!」
という安心があるとき
行動は、少しずつ
安定していきます。

次の回では
こうした行動の波の中で
子ども自身が
「自分をどう見始めるのか」
を扱います。
できた・できない、ではなく
自分をどう評価するようになるのか
を見ていきます。
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▶ この章を続けて読む
【第3章|子どもの内側の変化】
https://kokoronokizu.jp/tag/第3章_子どもの内側の変化
*
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岩永留美
心の傷を回復と成長の力に変える|逆説人生法則メソッド開発



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