第1章・第4話
回復は、「前向き」から始まらない
ここまで読んでくださった方の中には
こんな気持ちが
芽生えているかもしれません。
「なるほど
仕組みは少し分かった」
「じゃあ、これからは
前向きに考えればいいんだ」
「もう過去に
引きずられないようにしよう」
とても自然な反応です。
そして同時に
多くの人がつまずいてきた分岐点
でもあります。
なぜなら
回復は「前向きになろう」として
始まるものではないからです。
むしろ逆に
前向きになろうとすればするほど
苦しくなる人も少なくありません。
・ポジティブに考えようとするほど
心がついてこない
・「もう大丈夫なはず」と
言い聞かせるほど反応が強くなる
・前向きになれない自分を
さらに責めてしまう
こんなループに覚えがある方も
いるのではないでしょうか。
これは
意志が弱いからでも
努力が足りないからでもありません。
理由は、とてもシンプルです。
心が、まだ安心していない状態で
前向きさを求められているからです。
第2話・第3話で綴ったように
反応は
心の奥にある無意識の前提と
記憶のフィルムに支えられています。
その前提が
「人は攻撃してくる」
「ここは安全じゃない」
「わたしは、厄介者かもしれない」
まだ、こう囁いている状態で…
その上に
「大丈夫」
「前向きに」
「気にしない」
という言葉を重ねても、
心は受け取れません。
それどころか
さらに警戒を強めてしまう
ことさえあります。
「こんなに頑張って
前向きになろうとしているのに、
まだ安心できないなんて」
「またダメな自分に戻った」
そうやって
回復しようとする努力そのものが
新しい苦しさを生んでしまったり
するのです。
ここで
大切な順番があります。
回復は、
前向き
→ 行動
→ 安心
の順に、起こるのではありません。
安心
→ 理解
→ 再選択
この順番です。
まず、反応が
「この反応には意味があった」
「ここまで必死に守ってきたんだ」
そう理解されること。
そして
その理解が
責めではなく
愛を伴って向けられたとき。
心は、初めて
「もう戦わなくていいかもしれない」
と感じ始めます。

安心が生まれたあとに
はじめて
考え方や行動の選択肢が
自然に広がっていきます。
だから
今この段階で
前向きになれなくても
何も問題はありません。
「変われていない」
「回復できていない」
そんな評価を下す必要もありません。
むしろ
前向きになれない自分がいるなら
そこには必ず、何かしら反応で
守り続けている理由があります。
次にやるべきことは
自分を奮い立たせることではなく
「なぜ、まだ怖いのか」
「どんな前提を抱えたまま
ここまで来たのか」
そこに
静かに目を向けることです。
それができたとき
心は少しずつ
緊張を解いていきます。
*
次回は
この章のまとめとして
「理解が起きたとき
人生はどう変わり始めるのか」
大きな劇的変化ではなく
とても静かな変化について
お話しします。
———
▶ この章を続けて読む
【 第1章|心の構造 一覧】
https://kokoronokizu.jp/tag/第1章_心の構造/
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岩永留美
心の傷を回復と成長の力に変える|逆説人生法則メソッド開発



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