第5章・第2話
回復が「特別な話」ではなくなった瞬間
回復は
誰かに見せるために
起きるものではありません。
静かに
気づかれないところで
関係の前提が
少しずつ入れ替わっていく。
今回は
「よくなった結果」ではなく
回復が
“次の世界へ渡っていく瞬間”を
いくつかの場面から見ていきます。
*
回復という言葉を聞くと
どこか遠い世界の出来事のように
感じる方もいるかもしれません。
長い時間がかかって
劇的な変化が起きて
ようやく辿り着けるもの。
そんなイメージを
持っている方も
少なくないでしょう。
けれど
逆説人生法則で
日々の視点を整えていくと
見えてくるのは
まったく違う景色です。
回復は
「人生が一変する瞬間」ではなく
日常の中で
ふっと起きる変化として
現れ始めます。
*
たとえば──
長いあいだ引きこもっていた子が
ある日、何も言わずに
玄関で靴を履いた。
「外に出なさい」と
言われたわけでもなく
背中を押された
わけでもありません。
ただ
家の中にあった
張りつめた空気が消えていた。
それだけでした。
*
ある、ご家庭では
ほとんど会話のなかった子が
少しずつ話し始めました。
最初は
学校のことでも
悩みでもなく
「今日さ…」
そんな
どうでもいいような言葉から。
そして気づけば
「もういいからー
ちょっと静かにしてー」
笑いながら
親が、そう言えるくらいに
なっていました。
*
「不登校が終わる」という言葉は
ときに
誤解を生むことがありす。
学校に戻ることもあります。
戻らないこともあります。
けれど
回復の本質は
そこにはありません。
その子が
「どこにいるか」ではなく
自分で選んで
そこに立っているか。
この違いは
後から大きな差になります。
*
こうした変化は
外から見ると
とても小さく見えます。
でも内側では
決定的なことが起きています。
・守らなくてよくなった
・感じても危険ではなくなった
・どの場所を選んでも
関係が続くと知った
これは
その子一人で起こした
変化ではありません。
関わる大人の
まなざしが変わり
前提が変わったことで
子どもが安心を感じて
おこった変化です。

回復とは
誰かを「正しい状態」に
戻すことではありません。
関係の中で
前提が入れ替わること。
その前提は
言葉で教えられるものではなく
体験として
染み込んでいきます。
だからこそ
この変化は無理がありません。
広げようとしなくても
説明しなくても
自然と、次へ渡っていきます。
*
ひとりの回復は
ひとつの家庭を変え
やがて
別の場所へ影響を残します。
それは
小さな循環かもしれません。
けれど、確実に
世界の質を変えていく循環です。
*
次回は
この循環が
家庭や学校を越えて
社会の中で、どう形を取り始めるのか。
その最初の接点を
見ていきます。
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▶ この章を続けて読む
【第5章|循環と社会】
https://kokoronokizu.jp/tag/第5章_循環と社会
*
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https://kokoronokizu.jp/people-with-emotional-wounds/
(↑文末に章ごとの入口があります)
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岩永留美|逆説人生法則



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